ELSI委員会

 日本遺伝子診療学会は、遺伝子関連検査全般を対象にし、遺伝関連学会の中でも企業の会員が多い等の特色があります。遺伝子診療に関する課題は、倫理だけではなく社会、法など多方面にあります。課題を多視野で検討できるよう、2017年に倫理問題委員会より、ELSI委員会と改称致しました。本委員会では、遺伝子診療に関するELSI(倫理的・法的・社会的課題)に関して本学会の有する特色を生かし検討する場と致します。

委員会の構成員
 現在、14名の委員で構成されており、内訳は臨床遺伝専門医、認定遺伝カウンセラー、臨床検査技師、研究者、登録衛生検査所所属等の学会員になります。本学会の特色でもある遺伝子診療に関わる多くの職種の連携が可能であるという強みをさらに活かし、ELSIの視点でゲノム医療推進に貢献できるように活動していきます。
遺伝学的検査の実名での実施に関する議論
  2022年3月に改定された日本医学会「医療における遺伝学的検査・診断に関するガイドライン」(以下ガイドライン)において、遺伝学的検査の匿名化が“必須ではない”ことが示されました。このことを受け、2024年9月に開催された第31回日本遺伝子診療学会大会内で、ELSI委員会企画として遺伝学的検査の実名実施に向けた現状と課題に関し、委員からの発表ならびに総合討論を行いました。ガイドライン改定の背景記載にあるように、匿名での遺伝学的検査実施による取り違えのリスクや、家系員が他施設で遺伝学的検査を実施する際の本人確認の課題といった内容が共有されました。この内容は THE MEDICAL&TEST JOURNAL に掲載されています。
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倫理的・法的課題
「遺伝医学関連三学会の学術集会への演題応募における倫理的手続きに関する指針」について
 日本遺伝子診療学会は日本人類遺伝学会、日本遺伝カウンセリング学会とともに、遺伝関連三学会の一つに位置づけられており、当委員会は2学会の倫理関連委員会とともに、「遺伝医学関連三学会の学術集会への演題応募における倫理的⼿続きに関する指針」の定期的な見直し、質の担保する役割を担っています。直近では2022年4月の個人情報保護法改定に伴い、2023年1月の本指針の改定作業の一端を担いました。